ストロボを使用した料理撮影時の「光の向き」や「光の質」ついて考える

光の質感の比較イメージ
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小山洋介

料理写真のカメラマンをやっております。日本酒が好きです。カメラはキャノン党です。

カメラの操作が一通りできたら、今度は料理に当たる光がどんな方向から当たるのか、どのような質感の光が当たるのか、これらのことが重要になってきます。ここでは料理撮影における「光の向き」や「光の質」とは、どういった種類があるのかを解説します。

ここでは写真撮影の技術以外の重要な要素である、料理の盛り付けやテーブルセッティングなどのスタイリングについては言及しません。

料理写真における光の質

私が撮影する場合はほとんどのケースで「光の質」については、傘とディフューザーを用いて拡散した光で撮影する場合が多いです。拡散した光と集光した光の違いは下記の例のようになります。

ディフューザーとはレースのカーテンのような役割をする機材のことです。乳白のプラスチックの薄いシートやトレーシングペーパーを利用します。

拡散した光の例

傘とディフューザーイメージ

傘とディフューザーを使用。

傘とディフューザー利用例イメージ

傘とディフューザーで撮影した光の質感。

拡散した光では影と影でない部分の境界線が曖昧です。これは明暗の差(コントラスト)が小さいということです。このような光の質をカメラマンは柔らかい光と呼びます。

集光した光の例

ストロボ直当てイメージ

ストロボの光を直接当てます。

ストロボ直当て例イメージ

ストロボ光を直接当てて撮影した光の質感。

集光した光は影と影でない部分の境界線がくっきりとしています。これは明暗の差(コントラスト)が大きいということです。このような光の質をカメラマンは硬い光と呼びます。

上記2点の中間の光の例

傘で撮影イメージ

傘を使用しての撮影

傘で撮影イメージ

傘を使用して撮影した光の質感。

上記2点の中間にあたるのが傘のみで撮影した例です。明暗の差がちょうど中間くらいになっています。これらの3つの例の写真では広告写真に使うとしたらほとんどの方は最初の傘とディフューザーを用いた写真を選択すると思います。

以上のように、集光した光では明暗の差が大きく、夏の太陽をイメージしたような撮影以外で使用することがほとんどありません。ほとんどのケースでは、拡散した光で撮影した方がきれいに撮影できます。

料理写真における光の向き

料理を美味しそうに見せるという点では、被写体に正面から光を当てることはありません。逆光での撮影が基本となります逆光の向きについては真後ろからの逆光ではなく、斜め後ろからの逆光で撮影することが多いです。とはいえ、光の向きは撮影する被写体によって変える必要のある場合も多いです。特に反射し易いスープ、焼肉などは横からの光(サイド光)で撮影することもあります。

真逆行、斜め逆光、サイド光と3つの例を用意しました、写真の影に注目してください。

真逆光で撮影イメージ

「真逆光」で撮影した場合の影。写真の雰囲気が大切な場合はこの光が良い。

サイド光で撮影時の影

「サイド光」で撮影した場合の影。被写体に横から光を当てています。色を出したい場合はこの光の位置が良い。

斜め逆光で撮影イメージ

「斜め逆光」で撮影した場合の影。上2つの中間。

上記3つの例をよく見比べてください。

  • 真逆行では机の上部の色は反射で薄くなっています。明暗の差があり3つの中では一番綺麗な雰囲気です。
  • サイド光では机の模様も色もハッキリと写っていますが真逆行のようなきれいな雰囲気はありません。

光の高さと光の質で季節を表現してみる

光源の位置が高いのか低いのかによって、夏の太陽や、冬の太陽といったイメージの使い分けができます。夏は太陽が高い位置から当たり、冬は太陽が低い位置から当たります。それをストロボで太陽を模倣します。

柔らかい光が低い位置から当たるイメージ

柔らかい光が低い位置から当たると冬の雰囲気

硬い光が高い位置から当たるイメージ

硬い光が高い位置から当たると、夏のイメージとなる。

まとめ

  • 光の質は、柔らかい光と硬い光を被写体や必要なイメージによって使い分けます。
  • 光の向きは、料理撮影では斜め逆光が基本ですが、その都度、被写体の光の反射をみながら調節する必要があります。
  • 光の高さは、高いと夏っぽく、低いと冬っぽく撮影できます。